安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませぬから。(2015.2.10)

広島の原爆死没者慰霊碑に刻んである言葉。
オレは小学生の時にその慰霊碑の話を聞いて
「ん?」
と思った。文章の間違い?
「過ちは繰り返させませぬから」
じゃないの?と。

だってそれが置いてあるのは日本だ。
日本の広島のひとたちが被害者で、悲惨な目にあった当事者だ。
ほとんどが戦闘員ではない、一般人だ。
その被害者たちが自ら
「過ちは繰り返しませぬから」
というのは変だ。と思ったのだ。
被害者が謝っているのはどういうわけだろう。

…と、ひどく違和感を感じたものの、深く考えず忘れてしまった。


もう少し大きくなってからは、これはもしや
戦争に勝ったアメリカ人たちの勝手な言い分で、
「黄色い猿の分際で白人のオレ様たちに反抗したからこんな目に遭うんじゃ。
反省するがいい!二度と逆らうな」
というメッセージなのか?と思った。
戦勝国言いたい放題。
勝てば官軍。
あんな悲惨な目に合わせた上に謝らさせるとは、
なんてむごいんだろう。
とむかついた。


ある日ふと思い出して、婆ちゃんに言ってみた。
すると戦争経験者の婆ちゃんが言ったのだ。

そうじゃないのよ。
あれは被害者とか加害者とかの問題じゃない。
人間全ての反省なのよ。
戦争はもうしません、という誓い。
ほんっとに戦争だけはもういやだわ。


つまり、オレはあいつのせいでひどい目にあった、
という恨みは忘れて、誰が悪かったかと言うのは言及していないのだ。
被害者加害者の枠を超えて、こんな非人間的な行為を行う人間というもの、
戦争というものの愚かさを人の心に刻む為の言葉だったのだ。
こんなに高いところから見る眼を、すべての人がもてたらいいと思う。
こんなに広い心になれたらいいと思う。