わかりやすい本はつまらない。

最近思うのだが、わかりやすく書かれた本が多すぎる!
哲学者の本のエッセンスを要約してたり、
抜き書きしたりしたものに、
著者のわかりやすい解説がつけた本。
名作のあらすじをまとめた本。
漫画やイラストがふんだんに使ってある参考書。



わかりやすいのだ、確かに。
よく要点がまとまっているのだ。
時間の節約になるのだ。



でも、いくらうまくまとまっていて、よくできた本でも
やっぱりスカスカ感は否めない。



それは
「原書を読んでいて一段上行ってるぜ、オレ」
とかを言いたい訳ではない。



わかりやすくまとめた本は、
早く読めるし、あーおもしろかった、
とさえ思うけど、物足りなさは圧倒的だ。
自分で登った山の頂上の景色と、
電車で登った山の頂上の景色の差みたいなものだと思う。




何言ってるんだかいまいちどころかだいぶわからないところがある元本。
それをわからないなー、と立ち止まりながら考えながら読んだり、
冗長だと思った部分をしばらくたつとまた読み返したくなって、
意外にそこに大切なことが書かれていたり、
読み返すごとに、こんなこと書いてあったっけ?
と感心したり、
わかりにくい本は何回も読み直したくなる。
一冊で何回でも楽しめるし、だから手放したくないのだ。



それに対してわかりやすい親切な本は、一回読めば十分、と未練がない。
すぐブックオフ行きになってしまうのだった。
結局手元に残るのはいつも昔の本になってしまう。