「蟹工船」よりだんぜんおすすめ本。
下流の間で「蟹工船」がはやってるそうだけど、オレはだんぜん「夜と霧」をおす!
あんな本が出版されていることも知らずに、一生を終わる人は気の毒だと思うくらい深い本だ、とオレは思う(~o~)。
アウシュビッツに収容された精神科医がそのときの経験を書いた本だ、ということは知っていた。
なので、おどろおどろしい場面や悲惨な場面だらけの、人間性に絶望してしまうような本だと思って敬遠していた。
やたらと影響受けやすいオレは、そんな本を読んでしまうとしばらく立ち直れないのだ。
しかし、読んでみたらぜんぜん違った。
これは筆者が精神科医ということもあって、どんなときでもとても冷静に状況や人間の心理を観察しているのだ。
確かに人間のどうしようもないところも書いてあるが、おどろおどろしい描写はほとんどなく、淡々と状況を説明し分析している。
心理学の本を読んでいるようなかんじなのだ。
「暫定的な(=とりあえずの、本意でない)ありようが、いつ終わるか見通しのつかない状態は、人間に多大なストレスを与える。
目標をもてないということは、未来を見据えて存在することができない、ということである。
そのように内的なよりどころがない状態に置かれると、人間は脆弱になる。」
収容所にいる人々をみてこんなふうに分析しているのだが、まるでオレたち非正規職員やひきこもり、うつ病患者などの心理状態を言っているかのようだ。
「そのような状態が長く続くと、何もかもが無価値に感じられ、非現実感にとらわれるようになる。
時間間隔がゆがみ、一日のような小さな時間単位は無限に続くように思う反面、少し大きな時間単位、週や年はあっという間に過ぎるような気がしてくる。」
ああ、よくわかる!そのかんじ。
希望がもてない状態の人というのは、客観的に見た幸不幸の度合いとは関係なく同じ気持ちなんだなあ、と思った。
共感するところ満載!
でも、この本のすごいと思うところは、どんな絶望的な状態にあっても希望をもてる、ということを真実として語っているところだ。
実際そういう人たちがいた、と証言してくれているところだ。
どんなに過酷な労働な後でも、素晴らしい夕日に見とれる日もあった、ということを伝えてくれているところだ。
この本の筆者自身は、過酷な状態からやっと開放されたと思ったら、妻子は殺されていることを知り、近所の人の白々しい言い訳を聞き、もう絶望してしまいそうなのに、決して運命に負けていない。
その後の彼も、快活でよく人の話を聴き、あけっぴろげな人だったという。
そしてけっこう長生きした(~o~)。
そういう彼の生き方自体が、またオレたちに大きな希望を与えてくれていると思う。
・・・ああ、書いていたらまた感動してきた(ToT)。
この本を思い出すと、弱音をはいてる場合じゃねーな、と思う。
- 作者: ヴィクトール・E・フランクル,池田香代子
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2002/11/06
- メディア: 単行本
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