やりたい店とお客さんの求める店は違う。

オレは本屋が好きだ。
普通の本屋も古本屋も、見かけたらつい入ってしまう。



一昔前の古本屋といえば、変わり者のおっさんがやっているものと
相場が決まっていた。
雑然と通路に積まれた古本と天井までとどく本棚に整理されずに入っている古本。
通路の奥のせまい机の前に座って、やはり山積みの本になにやら作業しているおやじ。
声をかけるとずらした眼鏡の上からじろり。
愛想もサービス精神のへったくれもないようなおやじが古本屋界の99%を占めていた
(オレ調べ)。



そんな古本屋界をなんとかしようと若者たちがたちあがった!
かどうかは知らんが(^―^)、近所に突如お洒落な古本屋ができたのだ。
古い一軒家にいい味出してる看板、古い木の本棚、
木の台にきれいにディスプレイされた画集や絵本、
本棚にはジャンル別あいうえお順に整然と並べられた本、
それに広い通路。
なにやらスッキリしたかんじの男の子やお洒落な女の子たちが出入りしている。
はやりの古民家カフェを連想させる、センスのいい店。



なんと、古本屋でもこんなにお洒落にできるのだ。
感心してさっそく入ってみた。
ところが...


どーも居心地が悪いのだ。
すっきりしている分、本の量は少ないし、掘り出し物感がない。
すぐ見終わってしまう。
それに、お客もスタッフも知り合いのようで、楽しそうに
今後の予定など話している。
なんか、場違いな客ですんません。
こそこそと店を出るオレ。



それで改めて思ったのだが、やっぱり古本屋はあの雑然とした感じ、
あか抜けない感じ、おやじが客を無視する感じ、がいいのだ、たぶん。
本当の本好き(というほどオレは詳しくないが)は
そういう店こそ自分の居場所、と言う気がして落ち着く。
だいたい本ばっか読んでる奴は、イケてない奴が多い(と思う)ので、
そもそもステキな店が似合わないのだ( ̄▽ ̄)。


そして、明らかにイケてない奴が多い我が街では、
同じようなことを思う人が多かったのか、
その店はいくらもたたないうちに別の店に変わっていった。
下北沢とか中目黒とかだったら、こういう店もはやったかもしれない。
立地も大事だな。


自分が作るとすると、やっぱりお洒落な店を作ったほうがだんぜん楽しいと思う。
しかし、実はあか抜けない店に安心感を感じる客もけっこういる。
そこんとこ、なかなか商売は難しいな。
ださい客なんてウチの店に合わんわ、と客層を選ぶという商売の方法もあるが、
よほどでないと、商売と言うより趣味の域を出ない気がする。



自己満足とお客さん。
どっちをとるかといったらやっぱ....